Reviews♪ 新聞や雑誌の記事、批評など


 

音楽雑誌 ≪音楽の友≫ “Concert Reviews” より 

◆08年チマローザ≪秘密の結婚≫で姉娘を好演したソプラノ、渡海の初リサイタル。声、響き、構築と磨き込まれた歌唱。曲目は前半が英国近代作曲家ホルストによる「マルグレーテの子守唄」と「6つの歌曲、またクィルター≪美しきバラよ≫≪金色のワインで杯を満たし≫など5曲。比較的珍しい曲ばかりだが、渡海は心を込めて歌い、それぞれの曲が持つ訴えと叙情を良く伝えてくれた。特に前記以外にホルストでは≪平和≫、クィルターでは≪歌声は消えても≫≪愛の哲学≫などが、渡海自身が記した解説と共に心に響いた。前半最後≪ルサルカ≫の<白銀の月よ>から後半は、アリアが中心だが、特に≪ノルマ≫の<浄き女神>では、複雑な心境を背負った祈りと美が、≪ドン・カルロ≫の<世の虚しさを知る神よ>では、波乱に満ちたエリザベッタの念いが切々と伝わってきた。指揮者である斎藤育雄(※原文では斉藤)のピアノも表情豊か。(6月18日・横浜みなとみらいホール〈小〉)                                                ※2010年8月号 P.159より    

◆意欲的な曲目を見事に歌いきった。第1曲レスピーギ≪最後の陶酔≫で渡海は早くもホールを支配、更に7曲からなるマルトゥッチ(1909没)の連作歌曲≪追憶の歌≫、オペラには背を向けていたこの作曲家の愛と追憶、自然への優しいまなざしが美しく示された。日本では指揮者、ピアニストの面のみ紹介されているが、この人の歌曲を探し出した彼女の努力と、その成果は見事。私も初めて聴いたが、特に第1、6、7曲は素晴らしい。後半はイタリア・オペラ作曲家のもので、ベッリーニ≪優雅な月よ≫など3曲、ジョルダーノ≪4月が戻ってくる≫、ヴェルディ≪アイーダ≫の<おお、わが故郷>、特に≪運命の力≫より<神よ、平和を与えたまえ>は訴えが見事。アンコールの≪トスカ≫の<歌に生き>、≪アドリアーナ≫の<私は神の下僕>、特に後者の気品と情熱は立派だ。また指揮者でもある斎藤育雄(※原文では斉藤)のピアノも見事。(6月20日・横浜みなとみらいホール〈小〉)

                                                   ※2012年8月号 P.138より   

                                    ―音楽評論家・三善清達氏による評

 

北鹿新聞 大館市民文化会館 コラム 『さくらまち通信』 主なバックナンバー

  ※リンクをクリックすると大館市民文化会館のホームページ内にジャンプします。

 

  ◆2008年  12月5日掲載

 

  ◆2009年   8月7日掲載

 

  ◆2012年   6月1日掲載   7月21日掲載  

 

      9月7日掲載   9月22日掲載    10月6日掲載